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『お産とコーチング』11~流産|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック

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コラムカテゴリー: その他

 妊娠の初期に、産婦人科の先生から

「下腹痛や出血があったら絶対に安静にしてください!」
「変わった症状があったらすぐに受診してください!」
など言われたことがある方も多いのではないでしょうか?
病院ではよく言われますよね。
実は、私はそのようなことは全く言っておりません。
なぜならば、妊娠の初期に、「安静にするかどうか」や「すぐに受診したかどうか」ということと、「流産するかどうか」は基本的に無関係だからです。
ちゃんと妊娠が継続され生まれてくれるかどうか、流産してしまうか、は大体のケースにおいて、赤ちゃん側の理由で決まるもので、それは既にお母さんの子宮に宿る前から決まっているものです。
妊娠された方も、私たち産科医も、その後の経過を見て、その結果からしか実際の状態を知ることはできません。
よく、重たい物を持ったり、激しいスポーツをしたり、重労働したり、転んだり、雨に打たれたりしたら、流産してしまう、と信じている方もおられますが。
それはテレビドラマの中だけのお話で、現実にはそういうことはありません。
妊娠としてちゃんと持ってくれて生まれてくれるか、流産してしまうか、それは既に最初から決まっているものです。
それを産科医が
「何かあったら安静にして!」とか「何かあったらすぐ受診して!」と言うことにより
うまくいっている時には何も思わないことですが、流産してしまった時には、
「安静にしていなかった自分がいけないんだ」とか「すぐ受診しなかった自分のせいなんだ」などと、
本来「安静」「すぐ受診」と「流産」は無関係であるため、きちんと『分別(ふんべつ)』できることなのに
「流産したのは自分のせいなんだ」という、自分を責める、間違った認識のみが残ってしまいます。
これは非常に良くないことです。
前に、産科医や産科スタッフの一言で、悪い「パラダイム」を与える、という話をしましたが、私たち産科医療者は慎重に言葉を選ばなければなりません。
私は、実際の現場で具体的にどのように言っているかと申しますと。
妊娠した人がやったことと、流産するかどうか、は基本的に関係ありません。
普通通りの生活を過ごして結構です。
妊娠して流産せずに順調に経過する人のうちの90%の人は初期に出血します。
この90%には、出血が少量すぎてそれに気がつかない人も含まれます。
妊娠初期は、何かあった時に早く受診したかどうかで結果は変わりません。
結果が変わらないことは知った上で気になる症状がある時は、慌てずに早めに外来受診をしてみてください。
妊娠中期~後期は、出血や腹痛があった場合には、早めに連絡してください。
などなど言っております。
残念なことに、流産される方はおられます。
一般的には、妊娠の4回に1回は流産する確率を誰でも持っている、と言われます。
流産された方には
赤ちゃんがちゃんと育って生まれるか、流産するかは最初から決まっています。
流産したら赤ちゃんの肉体はなくなってしまうけど、魂は天に帰ります。
流産した後の妊娠で生まれた赤ちゃんが、「前ダメだったのは僕だったんだよ。前はお空に帰ることが最初から決まっていて、それでお父さんやお母さんが悲しむのもわかってたけど、どうしてもお父さんお母さんのところに一度行ってみたくて来たんだ。来てみたら、お父さんお母さんがすごく優しかったから、今度はちゃんと生まれるつもりで来たんだよ。」と言ってくれることもあります。
お母さんがあまり悲しんでばかりいると、お空から覗いてて、次に来たがっている赤ちゃんが来づらくなっちゃうから、思いっきり泣いた後は、綺麗さっぱり。
天に向かって「ネクスト・プリーズ!カモン!ベイビー!」と言いましょう。
「今度来たら、思いっきり可愛がってあげるから、ちゃんと来いよな!」と言ってあげましょう。
きっとあなたたちご夫婦のもとにまたやって来てくれると思いますよ。
さあ、笑って帰りましょう!
などなど、お話しています。
流産された方も、笑って帰って行かれます(*^^*)
最後には私から「また是非お会いしましょう!」と伝えると、「必ずまた来ます!」と笑って返されます。
流産された方は、自分を責めたり、絶望的な気持ちになられる方もおられると思いますが、妊娠出産についてのコーチである産科医や産科スタッフは、同情するのではなく、共感する気持ちを持ち、毅然として「立場を取って」正しくお話するべきと思います。
今日は、「流産」のことに関連して、『分別』『パラダイム』『立場を取る』というお話をしてみました。
次回もお楽しみに(^_^)

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2019.05.13