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『お産とコーチング』38~啐啄(そつたく)同時|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック

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コラムカテゴリー: 妊娠, 出産, その他

分娩の予定日は、一般的には妊娠初期の超音波検査の赤ちゃんの大きさで決定します。

赤ちゃんが生まれる正期産の時期は、分娩予定日の3週間前の妊娠37周0日から、分娩予定日の1週間と6日後の41週6日まで、です。

つまり赤ちゃんは、この5週間の間の一番生まれたい日、一番生まれるべき日に、生まれてくるのです。

「誕生日別の占いの本」が成り立っているように、人は何月何日に生まれるかによって、将来の人生や職業なども異なります。

出産前のお母さんは、分娩予定日が近づいたり、分娩予定日が過ぎたりすると、お腹の中の赤ちゃんに向かって「早く生まれてきて!」と言われることも多いです。

赤ちゃんに早く会いたい、というお気持ちは十分にわかりますが、赤ちゃんには生まれたい日がある、生まれるべき日がある、その赤ちゃんの気持ちを尊重して、「お母さんはいつでも大丈夫よ」「あなたが生まれたい日でいいからね」とお腹に話しかけてあげる方が、より良いですね。

禅の言葉に『啐啄(そつたく)同時』というのがあります。

卵の中の雛鳥が殻を破って生まれ出ようとする時、雛が内側から殻をコツコツとつつくことを「啐」、ちょうどその時、親鳥が外から殻をコツコツとつつくのを「啄」と言います。この「啐」と「啄」によって、殻が破れて雛が無事誕生します。

両方が一致して雛が生まれる「機を得て両者愛応じる得難い好機」のことを「啐啄同時」と言います。親鳥の「啄」が一瞬でも誤ると、中の雛鳥の命にも関わる、早くてもいけない、遅くてもいけない、啐啄は同時でなければならないのです。絶妙のタイミング、という訳ですね。

機縁とは、自ずと訪れてくるものであって、作ろうとしても作れるものでもありません。機縁とは熟するもので、その時こそが「啐」の時であり、「啄」の時です。

禅門では、弟子の修業が円熟していることに気づいて、師僧が悟りの機会を与えてあげる。これは、師僧の教えに応じられる境地に弟子が至っていなければダメですし、師僧も弟子と意気投合して、間に髪を入れない機に教えを与えなければならないのです。

このようなことは、難しい禅門の話を出すまでもなく、日常の親子の会話や光景にも見られます。

例えば、小さなお子さんが初めて見る現象、それは美しい花や紅葉、噴水や川の流れでもいいでしょう。

お子さんが「わあ、お母さんすごいね!綺麗だね!」と興奮して喋っている時に、お母さんがスマホをいじっていたりして、お子さんの声にジャストのタイミングで反応できていなかったとしましょう。

お子さんは、がっかりしてしまい、もしかしたら、大げさな話ではなく、そのことがきっかけで、そのお子さんの将来に多大な影響を与えてしまうかもしれません。

「啐啄」は「同時」が大切ですね。

話をお産に戻しましょう。

分娩予定日が近づいたり、過ぎたりしても、お母さんは「あなたが生まれたい日でいいからね」と、お腹の赤ちゃんに話しかけてあげて。

周りの雑音は気にせず、お腹の中の赤ちゃんだけを見つめて、生まれてくる赤ちゃんの命を信じて、赤ちゃんの気持ちを尊重して、十分に「啐」の時を待ってあげてください。

きっと素敵な「啄」の時を迎えられると思います。

今日は『啐啄同時』をご紹介しました(*^^*)

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2019.05.13