Loading...

『お産とコーチング』36~「開いた」イメージで乗り切ろう!|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック

TEL 082-850-1815
P40台完備
朝8時から
診察中
コラムカテゴリー: 妊娠, 出産, その他

物事について、どんな広がりのイメージを持つか、人それぞれ自由です。
今日は、「閉じた」イメージと「開いた」イメージ、の話をしましょう。
「閉じた」イメージとは、目には見えないのですが、自分の周りに、囲いや仕切りがあって、閉ざされた狭い空間の中で生きて、生活して、思考している、そんな感じです。
反対に、「開いた」イメージとは、自分の周りに、囲いや仕切りなどなく、どこまでも広がる、広々とした空間の中で生きて、生活して、思考している、そんな感じです。
何となくおわかりいただけるでしょうか?
癌という病気を持っている人がいたとします。
その人が、「閉じた」イメージの世界観で生きていたなら、自分の意識が癌にばかり集中してしまい、癌を進行させてしまうことがあるのです。
その人が「開いた」イメージの世界観で生きていて、山登りしたり、演奏したり、など好きな趣味があれば、私の体の中に癌という病気があることは認める、でも私は、好きなのでどんどん時間を作って山に登るんだ、あるいは演奏を楽しむんだ、と思って生活していると、意識が癌にばかり集中していないので、あまり進行しないことがあるのです。
実は、これは、癌の人などの「生きがい療法」と言われていて、実際に行われている、ある種の治療法です。
このように、「閉じた」イメージではなく、「開いた」イメージの方が、病気など困難な事態は乗り切りやすいのです。
まだ分娩になってはいけない早い時期に、子宮口が開いてきたり、子宮頸管が短くなったりするのを「切迫早産」と言います。
そのような状況になれば、病院の医師からは、入院して切迫早産の治療をすすめられることが多いです。
入院したら、トイレと洗面以外はベッド上安静で、切迫早産治療(張り止めの薬です)の点滴を24時間ぶっ続けで、ずっと毎日行います。
入院した部屋が大部屋だったら、その部屋に入院している人は、全員切迫早産であることが多く、皆24時間点滴を毎日のようにしています。
そういう環境下では、多少世間話をすることはあるでしょうが、口に出すかどうかは別として、自分の意識のフォーカスは、早産するかどうか、今日は大丈夫か?明日はどうだろう?みたいなことばかりになってしまいます。
それは無理からぬことです。
しかし、入院していなかったら、張り止めの薬は飲みながら、なるべく派手に動かないようにして、でき得る限りの安静には気をつけていたとしても、家にいたらいたで、多少の家事はしないといけない、子供の面倒はみないといけない、近所に買い物ぐらいは行かないといけない、とまあ、何だかんだやることはあるものです。
ですから、気にはなるものの、四六時中、早産するかどうかばっかり思ってはいられません。
産科学の常識から考えると、切迫早産の人は、入院管理して、安静度を高め、連日24時間点滴治療をした方が、より早産を防ぎやすい、です。
理論上はその通りですし、何もおかしいことはありません。
しかし、私は今まで出会った妊婦さんで、通常妊娠36週(10か月の初め)から子宮口が開き始めるのですが、30週過ぎから子宮口が開き始め、現状をよく説明し、張り止めの内服薬を飲んでもらい、子宮口がゆるみやすい食べ物(バナナ・ヨーグルト・蜂蜜・カレーetc.)を避けて、子宮口が閉まりやすい食べ物(梅干し・ごま塩・根菜etc.)を毎日食べるように指導し(と言っても開いた子宮口はもう閉じません)、入院せず自宅で過ごしてもらうようにして、予定日頃まで出産にならずにいたケースを一杯経験しています。
妊娠30週過ぎから子宮口が開き始めるのは、正直言って相当早いです。
ほとんどの産婦人科医はその妊婦さんを入院させるでしょう。
同じ人の同じ時期について、入院した場合と入院しなかった場合の2パターンを試してみることができないので、結果の違いを検証することはできませんが、案外入院管理した人で早産してしまう人も多いように感じます。
医学的な理論は全く間違っていないのですが、入院すると、「閉じた」イメージを作ってしまい、早産するかどうかに意識が集中し過ぎて、結果的に早産の方向に進んでしまうことがあるのでは?と推察しています。
切迫早産なのに入院しないで自宅で生活していると、他にやらなければならないことがあるので、早産にばかり意識が集中しない「開いた」イメージの中で生活しているために、だんだん自分の中で「大丈夫そう」と思い始め、そのうち「絶対大丈夫だ」という気持ちにまで至り、結果的に早産しないで正期産の時期まで行けることがあるようです。
その人自らが「絶対大丈夫」と確信していたら、本当に大丈夫なことは多いです。
もちろん、これはケース・バイ・ケースだと思いますので、入院するより自宅で過ごす方が、結果的に絶対によい、とまでは言えません。
ただ言えることは、八方塞がりのような、袋小路のような、「閉じた」イメージを持って過ごすよりも、どこまでも広々としている「開いた」イメージで過ごす方が、何事も結果的に良い方向に進みそうです。
今日は、「閉じた」イメージと「開いた」イメージ、のお話でした(*^^*)

こちらの記事もどうぞ


2019.05.13