健診の際や分娩進行中、妊婦さんに対して
陣痛があって赤ちゃんを産むのは確かだけど、拷問されている訳ではないよ。
本来お産はおめでたくて幸せを感じられるものだよ。
やり様によっては、ちゃんと楽しめるよ。
とお話することがあります。
物事はすべて、どう捉えるか、どう見るか、によって質が変わりますし、見える景色が変わります。
仕事でも、元々はそれが、お客様サービスにつながる、患者さんのためになる、会社全体や従業員の利益になる、ようなものであっても、その意図や目的がそれをやる人の腑にちゃんと落ちていなければ、‘やらされてる感’のみが膨れ上がって、仕事は苦痛でしかなく、結局は良い結果につながらないでしょう。
妊娠中の食事や体重の注意点も、近い将来の幸せなお産につながるような絵が描けていなければ、妊婦さんにとっては、ただの苦痛になってしまいます。
ですから、産科医は、ただ、「食事に気をつけて」「体重を減らして」と言うのではなく、「どういう食べ物が太りやすいのか」「太りやすい食べ物は、陰性の食べ物が多く、緩みやすい」「そういう食べ物は、早産、逆子、微弱陣痛、なご起こしやすい」「それらは、精神的にも不安定になって、落ち着いたお産ができにくい」など、きちんと説明してあげることが大切です。
で、もっと大切なことは、すべてワクワク楽しみながらやること、です。
太りすぎの妊婦さんが、体重をほんの少しでも下げられたら、やったー!という気持ちになると思います。
妊婦さんと一緒に、産科医も喜びましょう。
ワクワク感は大事です。
中には、体重がほんの少ししか下げられませんでした、と言われる妊婦さんもいますが、私はそういう人には、1ミリの進歩でもヨシ!としよう、と言っています。
妊娠中の食事や体重の注意も、確実に幸せなお産につながっている道の途中、と思って、ワクワク楽しみながらやってもらいたいです。
そう思ってもらえるような産科医のコーチとしてのあり方も重要です。産科医自身も、妊婦さんお一人おひとりが幸せなお産につながっていける、そのコーチとしての大切な役割を担っているんだ、というワクワク感で楽しんでやるのがいいと思います。
聖書では、アダムとイヴが禁断の果実を食してしまい、その罰として、男性には労働という苦役を、女性には分娩という苦役を与えた、とされています。
日本人という民族は、仕事や労働を苦役とは捉えていません。「働く」という言葉は、「ハタをラクにする」という意味で、世の中のために、他人様(ひとさま)のために、という「利他の心」が備わっています。
日本人にとっては、仕事や労働は罰や苦役ではなく、その中に、「生きがい」や「やりがい」など「甲斐」を見出す、そういう民族なのでしょう。
であれば、日本で行われる「お産」は、キリスト教圏で言われる罰や苦役としての分娩ではなく、甲斐を感じられる分娩ができるのではないでしょうか?
甲斐を感じられれば、自然と笑ったり楽しんだり幸せを感じることができ、それができれば、より甲斐を感じられる、そういうもののように思います。
赤ちゃんが生まれること自体も素晴らしく素敵なことですが、生まれた赤ちゃんがこれからどんな人生を歩むのだろう、どんな未来が待っているのだろう、そう考えると、もっと素敵に夢が広がります。
ものすごく尊いことだと思います。
妊娠中の食事も、体重管理も、つわりも、陣痛も、すべて、そんな未来につながっているのです。
未来につながっている、そう思うだけで、甲斐を感じられる、のです。
妊婦さんも産科医も、皆、暗い顔をしないで、いつでも「甲斐を感じて」ワクワク楽しみながらやっていきましょう。
見えない未来を夢見る、ってワクワクしませんか?
『お産とコーチング』49~甲斐を感じて|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック
TEL 082-850-1815