『つぐお式出産』の基本は、「ソフロロジー式出産」です。
フジハラレディースクリニックは、日本ソフロロジー法研究会より正規認定施設とされており、私自身もソフロロジー式出産の認定指導医になっています。
ソフロロジーは、陣痛の始まりから赤ちゃんが生まれ出るまで、息を吐くことだけに集中して出産するスタイルの出産法です。
力任せにいきむお産とは異なり、赤ちゃんにもお母さんにも優しいお産です。
素晴らしい出産法だと思います。
ただ、「ソフロロジー式出産」のキャッチフレーズ「陣痛の痛みを出産の喜びに変えて」「ポジティブシンキングな出産方法」というのは、私自身あまり好きではありません。(認定指導医の私が言うのも変ですが)
よく自己啓発の分野などで「ポジティブシンキングでいこう!」「モチベーションを上げて!」など言われますね。似たようなものに「プラス思考で」「前向きに」という言葉があります。
実は、これらは最近ではあまり機能しない(役に立たない)ことがわかってきました。
そもそも、ポジティブシンキングに持っていかなければならなかったり、モチベーションを上げなければいけなかったりするということは、やろうとしていること自体が「ネガティブなこと」という前提になります。
つまり、これからやろうとしていることは「ネガティブなものである」ということを認めるところから始まり、それを「ポジティブなものに持っていこうよ」としている訳です。
これって、考えてみると二重にエネルギーが必要な気がしませんか?
この論法をお産に当てはめてみると。
お産は怖くて痛くて辛くて苦しい経験でありネガティブなものである。
それを赤ちゃんが生まれる喜びというポジティブなものに持っていこう!
ということになりますね。
なんか難しい気がしませんか?
産科医師やスタッフでも、分娩の現場で「痛い(ネガティブ)けど、頑張ろう!(ポジティブ)」という人もいますが、これだけでは出産するお母さんたちも乗り切れません。
第一、この考え方で行くと、私たち産科医やスタッフが、「お産の体験」を、ネガティブに捉えるところから、否定するところから始まっていることになります。
お産の持つ素晴らしさを一番理解して一番伝えなければならない立場の人間が、お産を否定するところから始まる。
私にはそういうことはできません。
お産とは本来、「怖くて痛くて辛いもの」ではなく、「楽しめて幸せで満足できるもの」です。
無理矢理にポジティブに持っていこうとするものではなく、お産自体をちゃんと楽しめるものです。
もっと楽に、軽やかに捉えてみましょう。
ポジティブでも、ネガティブでもない、「ニュートラルシンキングのお産」を私は推奨しています。
「ニュートラル」とは、言い換えれば「あるがまま」「自然体で」という意味です。
あなたがあなたのままで、気負わずお産そのものを楽しみましょう。
産科医やスタッフは、お産そのものの素晴らしさがわかってもらえるようにリードしましょう。
ニュートラルにそのものを感じる。そのものを楽しむ。
いかがでしょうか?
次回もお楽しみに(*^^*)