前回、そのようにお話しました。 まさにこれは、禅の原点である考え方です。
禅の言葉に「喫茶喫飯(きっさきっぱん)」というものがあります。
これは
お茶を飲んでいる時には、ただ飲むことだけに心を集中させる。ご飯を食べる時には、食べることだけに集中する。まさにお茶と自分を一体化させるがごとく、今という瞬間に没頭すること。
という意味です。
少し話はそれますが、「集中する」という言葉がありましたが、「集中」の反対は「分散」です。「集中」が良くて「分散」が悪い、ということはありません。一点にばかり集中して周りに目がいかないのもいけないし、かと言って周りにばかり目がいって肝心なものを見ていなければそれもダメですし。その中間のバランスがいいですね。
ですので、私流に「喫茶喫飯」の説明を言い換えると、「お茶を飲む時はお茶を楽しむ。ご飯を食べる時はご飯を楽しむ。」つまり「そのものを楽しむ」ということになるでしょう。
ニュートラルの考えと似ているでしょう。
そうなんです。「コーチング」と「禅」は非常に似ているところが多いんです。
分娩予定日が近づいたり過ぎたりしてもまだお産にならないお母さんによく質問されることがあります。
「赤ちゃんが早く生まれるために、頑張って歩いた方がいいですか?」
私は、そういう時にはこうお話しています。
歩いても歩かなくてもどちらでもいいですよ。
赤ちゃんが生まれる日は一日でも違うと将来就く職業や人生までも違ってきます。
それは生まれる日によって左右させられているのではなくて、その人がいつ生まれ、どういう人生をたどるかというのは、そもそも決まっているものなのでしょう。
赤ちゃん自身も、世界中を見渡してこのお父さんお母さんのところに生まれたい!と思って選んでやって来てくれて、今日お父さんお母さんに会いたい!と思ってその日に生まれてくれるものです。
「赤ちゃんが早く生まれるために歩く」のではなくて、「お散歩そのものを楽しみたいから、赤ちゃんと一緒に歩いてみる」でいいんじゃないでしょうか。
仮に、昨日お母さんが5時間歩き続けて、今日赤ちゃんが生まれたとしましょう。
そうなると、ああ昨日一杯歩いたから今日生まれたんだ、と思うかもしれないけど、昨日全く歩かなかった自分を経験していないから、本当に昨日歩いたから今日生まれたかどうかはわからないでしょう。
〇〇のために△△する、というのじゃなくて。もっとシンプルに。
可笑しいから笑う。歌いたいから歌う。歩きたいから歩く。
それでいいんじゃないでしょうか。
そうやって赤ちゃんが生まれてくれる日を待ちましょう。
と、このように言っております。
これって、「ニュートラル」であり、「喫茶喫飯」でしょう。
仕事でも遊びでも没頭していれば、その時間を楽しめます。
笑顔で仕事ができている人は、仕事と自分を一体化させているのでしょう。
お産も同じです。
めっちゃ笑顔でお産できる人は、まさにその瞬間に、お産と自分を一体化させて楽しんでいます。
「ニュートラル」と「喫茶喫飯」。
そのものを感じ、そのものを楽しむ。
参考にしてみてください。
次回もどうぞお楽しみに(*^^*)
『お産とコーチング』6~喫茶喫飯|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック
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