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『お産とコーチング』42~『口角アップキャンペーン!』|広島市安佐南の産婦人科 フジハラレディースクリニック

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コラムカテゴリー: 妊娠, 出産, その他

以前、『いいお産のための3つのコツ』として、「呼吸」「返事・会話」「笑顔」というお話をしました。
陣痛がだんだん強くなっていって、アップセットしてしまった(落ち着かず取り乱してしまった)時に、目も閉じて殻の中にこもり、口も閉じて黙り込んでしまっては、ますます落ち着けません。
でもその時に、ハイ!と返事をするだけでも、アップセットから降りられる、舞い上がった状態から着地(グラウンディング)できるのです。
ハイ!の返事の後、普通に会話を続けたら、どんどん平静になっていけるのです。
簡単で便利で、イイでしょう。
そのことを、外来で妊婦さんによくお話をするのですが、そんな会話の中で、ほとんど返事をされない方もいらっしゃいます。
家庭でのしつけや学校での教育の中で、返事ぐらい自然と身につきそうな気もしますが、そうでもない方がおられるのですね。
私なんかは、子どもの頃から、級長や学級委員長やったり、科学作品展(理科研究)、読書感想文で表彰されることも多く、弁論大会にも出たりして(←別に自慢じゃないです)、返事をしたり人前で喋ることにも慣らされていきましたし、大学生の時に所属していた音楽部も返事や挨拶や上下関係に普通に厳しいクラブでしたから、返事はきちんとする、というよりむしろ、返事をしない方が気持ち悪いくらいの感じです。
普段からあまり返事をしないおとなしい感じの人が、陣痛が始まってから、急にハキハキと返事をし始めることはないので、そういう方には、外来の妊婦健診の時から、よく話しかけて、なるべくその方の返事や会話を引き出すようにしています。
以前、『ジェームズ・ランゲ説』と『βエンドルフィン』のところでもお話したのですが、最初は形から入って、作り笑顔で始めても、それを続けていくと、心も動いていき、嬉しく楽しくなっていきます。
そして、笑っていると、それがめっちゃ笑っていればいるほど、脳からβエンドルフィンという神経伝達物質が分泌され、その物質がモルヒネの6.5倍の鎮痛効果があるので、どんどん楽になっていくのです。
だから、お産の時も、ずっとニコニコ笑っている方がラクで楽しくなるのですが、これも先程の返事と同様、普段からあまり笑わない方がいらっしゃいます。
単なる習慣や癖かもしれませんし、人前で笑えない、ことにつながるインナーチャイルド(内なる子ども、潜在意識の中にある幼少期のネガティブな感情)みたいなものがあるのかもしれません。
それを探究していくには、ヒプノセラピーなどする必要もあるかもしれませんが、今日のところはそれはちょっと置いておきまして。
普段あまり笑わない妊婦さんが、陣痛が始まってから急によく笑うようにはならないので、そういう方には、外来の妊婦健診の時から、よく話しかけて、笑顔を促すようにしています。
一気には無理なので、まずは「ニコニコ笑ってお産すると、お産がラクなんだよ~」というところから始めて。
その次の健診では、「陣痛が始まったら顔がこわばって、笑えなくなることも多いから、毎日鏡を見て、口角をアップして笑う練習してみてね~」
その次の健診では「毎日鏡を見て笑う練習してる?」
陣痛が始まって入院された時には「今日も笑う練習してきた?」
など、なるべく笑顔についての話題を振って、笑うことの大切さを忘れないようにしてもらい、笑う習慣作りを推し進めるようにしています。
そういう風にしていると、「お産の時笑っていなかったら、『笑顔を忘れてるぞ!笑って笑って!』って言ってあげるからね!」という会話になり、その時にご本人から「お願いします!」という返答をもらえれば、大体うまくいくと思います。
実際にこのやり方で、うまくいったケースもあります。
三宅マリさんのご著書『運命の脚本の書きかえ方』(幻冬舎)の中に、『口角アップキャンペーン』というのが載っていました。
『口角アップキャンペーン!』
お産のコーチである産科医の皆さん、是非実践してみてくださいね。

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2019.05.13